DORPデザイナー勉強会 Vol.1 ファインペーパー製造工場見学&オリジナル紙作り体験に参加してきました
2013年10月29日に浜松のDORP デザイナー・オープンリソースプロジェクト企画の「DORPデザイナー勉強会 Vol.1 ファインペーパー製造工場見学&オリジナル紙作り体験」に参加してきました。
私は浜松どころか静岡の人でもないのですが、Facebookで見かけた企画がとても面白そうだったので、思い切って申し込んでみたところ、こころよく受け付けていただけました。
日清紡ペーパープロダクツ株式会社 富士事業所にて、製紙工場見学と紙作り体験をさせていただきました。
日清紡ペーパープロダクツ株式会社は、アラベール、NTラシャ、ヴァンヌーボなど、紙に関わってる人なら、どれも聞いた事がある紙を作っている会社です。
製紙工場は全国に四拠点あり、そのうちのひとつがファインペーパー・合成紙を扱う富士工場です。
最初に紙についての説明を受けて、 紙漉き・塗紙体験、工場見学という流れでした。
紙についての説明
紙の原料は、木材パルプと非木材パルプ(竹・ケナフなど)に大別されます。
さらに木材パルプは針葉樹と広葉樹のパルプがあります。
- 針葉樹:繊維が太く長い。丈夫。
- 広葉樹:繊維が細く短い。均一でなめらか。
実際に針葉樹と広葉樹の同じぐらいの厚さの紙を破かせてもらいました。広葉樹の紙は軽く破れるのに、針葉樹の紙は力を入れても全然破れません!
紙の作り方も説明していただきましたが、工場見学の方と合わせて後ほど。
紙作り体験:紙漉きと塗工体験
紙漉体験
水に溶かしてあるパルプ(水に濡れたティッシュペーパーのような見た目)が、4色(青、赤、黄、白)用意してあり、この四色の配合を変えていろんな色の紙を作ります。
今回は四色だけでしたが、黒や紫など他の色もあるそうです。
配合したパルプをかき混ぜます。よくかき混ぜると、一色に近いものに、軽くかき混ぜると元のパルプの色を残したものになります。
混ぜたパルプを容器に入れて、水を抜くとシートの上にパルプが残ります。(この時、網からブランケットの上に移動したと思うのですが、そのあたりの記憶があいまいです)
ブランケットの上に乗せた紙をプレス機に入れてプレスします。
プレスした紙を、ヒーターに入れて乾かします。
これで紙の完成です。
奥がパルプをよくかき混ぜた紙、手前が軽くかき混ぜた紙です。
塗工体験
紙の上に、溶液を薄く塗って、塗工紙を作ります。
A4サイズの紙を(紙の種類はメモし忘れました…。)何種類かから選びます。
溶液はきらびき、ミランダ、スフールの3種の紙で使われてるものを使います。
きらびき・ミランダはキラキラした感じ、スベールはふわっとした感じです。
紙の上溶液を置いて、棒で広げて塗っていきます。
溶液を塗った紙をヒーターで乾かします。
これで塗工紙の完成です。
手前から、きらびき、スフール、ミランダ(の溶液を塗った)紙です。
普段からこのような流れで新しい紙を試行錯誤しながら開発されているそうです。
工場見学
紙の作り方はざっくりと以下の流れです。
原料加工→抄紙→(加工)→検査→出荷
原料加工
パルプを水に溶かして、叩いて繊維を砕きます。砕く度合いは作る紙によってかわります。紙の用途によって薬品を入れます。
抄紙
処理されたパルプをワイヤー(網)にのせてブラケット(フェルトみたいな見た目)にくっつけます。
このワイヤーの乗っけ方が二種類あります。
- 長網:長い網が連なっている。パルプを一回で乗せる。高速に作れる。
- 円胴:円胴になった網が連なっていて、円胴ひとつずつにパルプを乗せて重ねていくため、層になったものができる。厚紙が作りやすい。
ブラケットに乗ったパルプは円胴に挟まれてプレスし、水分を抜きます。
さらに水分を抜くために、熱い円胴に巻きつけて乾かします。
円胴の温度はあまり高くなく、片面ずつ徐々に乾かします。いきなり高温で乾かすと、紙が凸凹になってしまうそうです。
乾かした直後の紙は、乾燥しすぎているので、湿気を加えて作業環境に合った状態にします。
その後、色味のチェックやゴミなどが入っていないか点検が入ります。欠陥品は、自動的にマークが付いて、後から抜きとれるそうです。
点検後、サイズに合わせてカットされます。
最後に検査、梱包、発送作業になります。
加工
紙を作った後に、塗料を塗ったりエンボスをつけたりします。カット前のロール紙を加工します。
塗工
塗料を着けた円胴に紙を挟んで付けます。印刷機にインクを付けて通すみたいな感じでした。
エンボス
エンボスのついた円胴の間に紙を挟んで圧をかけて凹凸を付けます。
塗工紙の切れっ端をいただいたのですが、塗料がついた部分と元の紙では色が全然違いました。(真ん中の白い部分が紙。上が非塗工、下が塗工。写真だとわかりにくいですが)
工場見学&紙作り体験をさせていただき、紙の種類、紙の厚さや大きさ、いろいろ紙についての知識はあるかと思ってましたが、表面上の知識であることがわかりました。
実際に紙が作られている現場を見て、「紙の平滑度はパルプの砕き具合」「紙の厚さは網にのせるパルプの厚み」「塗料紙は塗料を表面につけている」など文にするとあたりまえのことですが、頭の中の知識がカチっとはまったような感じになりました。紙を見る目がずいぶん変わりました。
企画してくださったDORPの皆さま、株式会社竹尾、日清紡ペーパープロダクツ株式会社の皆様ありがとうございました。